凄いぞ!OIST

凄いぞ!OIST

①兼任教授スバンテ・ペーボ氏が2022年ノーベル生理学医学賞を受賞!

「絶滅したヒト科のゲノムと人類の進化に関する発見」

スバンテ・ペーボ教授の実績

  • ネアンデルタール人のDNA配列の解析に成功
  • 古代人の指の骨のDNAから「デニソワ人」を特定
  • 現在の人類集団の一部にネアンデルタール人とデニソワ人の遺伝子が見いだされることを発見
    ➯新型コロナの重症化リスクなど現在の人類にも遺伝的な影響を与える

https://www.oist.jp/ja/news-center/news/2022/12/8/oist-professor-svante-paabo-wins-2022-nobel-prize-physiology-or-medicine

②日本で最も高い割合で質の高い論文を発表!

ネイチャー・インデックス2019
→優れた論文の割合で世界の研究機関をランク付け

国内ナンバーワン、世界でナンバーナイン。


https://www.oist.jp/ja/news-center/news/2019/6/20/oist-world-leader-according-new-nature-index

OISTとは?

沖縄科学技術大学院(OIST)は、理工学分野の5年一貫制博士課程を置く学際的な大学院大学です。世界の科学技術に貢献するとともに、国内外の優れた研究者を招へいして質の高い研究を行い、世界最高水準の研究拠点を形成し、沖縄の技術移転と産業革新を牽引する知的クラスターの形成を図ることを目的として、日本政府によって設立されました。

ビジョン・重視する価値・ミッション

OISTのビジョン
人類のための知の前進

OISTが重視する価値
卓越性・他者の尊重・責任感・透明性・持続可能性・多様性・勇気・自由を行動の基盤とする。

OISTのミッション
先駆的大学院大学として、科学的知見の最先端を切り拓く研究を行い、次世代の科学研究をリードする研究者を育て、沖縄におけるイノベーションを促進する拠点としての役割を果たす。

OISTの所在地 沖縄県恩納村出典:OISTホームページ

基本理念

世界が認める大学院
人類に恩恵をもたらす、世界最先端の学際的研究を行う機関としての地位を確立することを目指す。

選ばれる目的地
沖縄でのイノベーションの実現にとって最適なパートナーとなり、触媒としての役割を果たすことで、経済成長と持続可能な利益を促進し、日本及び国際社会にとって重要な問題に対応するための役割を果たすことを目指す。

選ばれるパートナー
効率的な事務部門の支援の上に、科学と教育を結びつけて、イノベーションと起業家精神を涵養し、研究・学習・共同活動の目的地となることを目指す。

OISTの特色

①国際的なベストプラクティスを手本とした、国内では珍しいガバナンス体制

科学技術だけでなくガバナンスにおいても革新的な独自の体制を導入。→https://www.oist.jp/ja/about/leadership-governance

②学際的アプローチによる教育および研究

OISTには学部がなく、研究テーマの名称は各教員が決定。
大きく9つの研究領域と約90の研究室(ユニット)が研究分野の垣根を越えた創造的な研究に取り組む。

8つの研究領域は物理学、化学、環境生態学、海洋科学、数学・計算科学、分子・細胞発生生物学、神経科学、工学・応用化学があり、約90の研究室(ユニット)があります。

③国際性と多様性が豊かな英語コミュニティ

教員・学生・職員の多様性を高めるための取り組みを行っている。

外国人の割合のグラフ。教員は63%が外国人、学生は81%が外国人、職員は43%が外国人です。

OISTの女性の割合のグラフ。教員は18%が外国人、学生は38%が外国人、職員は52%が外国人です。

出典:OISTホームページ
2023年1月時点

④潤沢な研究・教育資金

資金面でのOISTの特徴

  1. 運営資金の9割は政府からの出資
  2. 「ハイトラストファンディング」の採用

「ハイトラストファンディング」とは…

  • 5年分の研究費を保証
  • 5年ごとのユニット評価でその次の5年間の研究費の多寡を決定
    →長期的な研究やハイリスク・ハイリターンな研究ができる

⇒優秀な研究者が集まりやすい!

ハイトラストファンディングは5年間の安定した研究が保証され、長期的/ハイリスク・ハイリターンな研究が可能となります。成果が認められれば次の5年間へ!

従来の方法だと、自己努力で研究資金を獲得。1年から数年程度の短期的な資金が多い。短期間で計画通りの研究成果を出さなくてならない!

⑤教員の独立性および研究の自由

准教授から教授まですべての教員がそれぞれ独立した研究ユニットを率い、それぞれの研究テーマに取り組んでいます。

OISTの研究ユニット一覧
https://www.oist.jp/ja/research/research-units

⑥沖縄の経済発展に貢献する意欲

産業界との連携や起業・起業支援を通じて沖縄及び日本の経済成長を加速。
イノベーションの拠点となることを目指します。

沖縄経済に繋がるOISTの研究活動の一例

①オキナワモズクの安定生産

沖縄県水産海洋技術センターと共同で4種類あるオキナワモズク株のゲノム解読を行い、固有の遺伝子があることを発見。

環境変化に強い品種の開発など、モズクの生産量増加や付加価値向上が期待されます。

②シークヮーサーの研究

沖縄の特産品であるシークヮーサーの遺伝子学的調査・研究でルーツを発見しました。

歴史的・文化的な意義に加えて、今後の安定生産など商業的なメリットも生まれる可能性があります。

③海ぶどう養殖の進化

沖縄土産としても人気の海ぶどうの研究は恩納村漁業協同組合と共同で行いました。そして海ぶどうの全ゲノムの解読に成功しました。

海ぶどうを遺伝子レベルで健康管理できるようになり、品質や生産性の向上に役立つようになります。

④付加価値の高い米を沖縄から

恩納村の協力を得て、沖縄の気候に適し、かつ生活習慣病や糖尿病を予防する“難消化性デンプン”を含んだ新たな品種の米「アミロモチ」を開発しました。

病気の予防や食料自給率の向上に寄与します。

⑤病気に強いクルマエビをつくる

沖縄県はクルマエビの養殖生産量が全国1位です。OISTは東京海洋大学と共同でクルマエビのゲノム情報の解読に成功しました。

クルマエビの感染症対策や品種改良が進み、品質向上と量産につながります。

⑥養豚場の排水処理

沖縄県畜産研究センター、沖縄県環境科学センターとの研究チームによって独自の養豚場排水処理施設を開発。3年の実証実験を経て健康や環境に悪影響を及ぼす物質や臭気の低減に成功しました。

養豚業だけでなく、泡盛工場など様々な現場への応用と実用化が期待できます。

⑦環境に優しい高性能有機ポリマー製品の開発

EFポリマー社は「OIST Innovation アクセラレーター」から生まれたスタートアップ企業の一つです。
低価格で環境に優しいポリマー製品を開発しました。土の中で完全分解される優位性があります。

現在沖縄県内外の農家でパイロット試験を実施。インドでは2020年に発売開始しました。

⑧AIを用いた微生物の解析

Genome Minorは、「OIST Innovation アクセラレーター」から生まれた企業の一つです。

同社は化合物を自然界の微生物からつくることを目的に微生物を遺伝子レベルで解析するプラットフォームを構築しました。

AIで微生物を遺伝子レベルで解析し、化合物合成を微生物の力で持続可能にします。

⑨更年期の女性の健康を支える

HerLifeLabは、「OIST Innovation アクセラレーター」から生まれた企業です。

同社は、女性の更年期について科学的データを基に研究。更年期に適したサプリメント開発や支援を盛り込んだプラットフォームの開発に取り組んでいます。

更年期に対する理解を広げ、全ての女性のQOL向上に取り組んでいます。

⑩海流を追跡し軽石の漂着を予測

GPS付きの漂流ブイを使った海流の研究を活用してシミュレーションを行い、軽石の漂着・漂流予測に役立てています。

⑪DNA解析でサンゴ礁を守る

OISTは世界で初めてサンゴ礁の全ゲノム解析に成功しました。ゲノム技術は恩納村漁業協同組合が行うサンゴの移植に活かされており多様性に満ちたサンゴ礁の再生・保全に役立ちます。

⑫OKEON美ら森プロジェクト

沖縄の生態系観察のため20以上の調査区を設置。県内の学校・団体・行政等と連携し、情報や知識を共有。また、外来種の研究も行っています。

⑬外来アリの防除活動

ヒアリやアカカミアリ等生態系を脅かす外来アリに対する早期発見・早期防除の方法を国や沖縄県と共同で研究しています。
2020年には那覇市で見つかったハヤトゲフシアリ防除で成果を上げました。

⑭サッカー選手を脳科学でサポート

FC琉球と連携し、脳科学をパフォーマンスの向上に役立てる研究を行っています。FC琉球の練習を観察し「同期性」に着目。同期性を図ることでより連携したセットプレーの方法などに期待されています。

⑮コロナへの対策

OISTではパンデミック発生当時から沖縄県と連携し、学術データや医療技術および物資の提供を行ってきました。
また、ワクチンの免疫効果の研究や新たな変異株に対応すべく独自のワクチン開発も行っています。

イノベーションパーク構想

~ハイテク産業のイノベーションエコシステムを活性化~

沖縄科学技術大学院大学(OIST)
特別顧問(イノベーション関連)・名誉学長

ピーター・グルース博士

沖縄の本土復帰から50年が経ちましたが、日本本土と沖縄の経済格差は大きなままです。このような格差を減らすためには、ハイテク産業を創り出すことで沖縄全体の所得を引き上げるしかありません。しかし、大企業が沖縄にわざわざ来てハイテク産業を興すでしょうか。難しいと思います。

そこで、私はスタートアップ企業を沖縄で興こさなければならないと考えます。今、全世界で新たに創出されている雇用のほとんどは、創設から5年を経っていない新会社、すなわちスタートアップ企業で創出されています。つまり、沖縄で新たな雇用を創出するには新たな企業を興さなければなりません。

私は2022年12月で学長としての役目を終え引退することになりましたが、今後もOISTでイノベーションパーク創設の牽引役を続けてまいります。そして知財をスタートアップ企業に繋げていきます。

地政学的に沖縄は沢山の魅力を持っています。例えば今、中国や香港から多くの投資家が手を引いています。今後この投資家はどこに投資するのでしょうか。台湾でしょうか。シンガポールでしょうか。地政学的にも沖縄ではないでしょうか。沖縄はとても美しい場所で、人は美しい場所が好きですし、そこでOISTがハイテクの産業を興していくとしたら、沖縄は投資に最適な場所になります。OISTに技術移転のチームがあり、そこで企業とのネットワークを作っているのですが、既に34の日本企業が参画しており、情報交換などを行っています。

長期的には日本の大企業が小さな部隊を、スタートアップ企業のようにイノベーションパークに集結してくるという構想も考えています。また、食料関連や製薬関連の企業にもこのイノベーションパークに入っていただきたいと思います。沖縄はまだ100歳以上の人がたくさんいる土地であり、世界的に健康長寿で名高い「ブルーゾーン」と呼ばれています。こういった人々を研究の対象として製品開発を行い、健康寿命を延ばす研究をするには非常に適した土地だと考えています。この健康寿命を延ばすプロジェクトに関しては私も関わってまいります。

世界中の企業は、沖縄にビジネスアイデアを持ってくることを見据える時期に来ています。是非、ハイテクイノベーションの分野で懸け橋になっていただきたいと思います。

グルース博士は、ドイツ出身の発生生物学者で、哺乳類の胚発生と遺伝子制御の研究者として国際的に名が知られています。OISTに着任する前の2002年から2014年まで、ドイツのマックス・プランク学術振興協会会長を務めていました。その後、2017年に沖縄に移住し、2022年12月まで、OISTの学長兼理事長を務めました。2023年1月からは、沖縄科学技術大学院大学特別顧問(イノベーション関連)および名誉学長。

OISTのイノベーションエコシステム

先駆的な大学院大学であるOISTは、沖縄にイノベーション拠点を形成する触媒の役割を果たすため、イノベーションエコシステムの形成実現を目標として掲げています。

THE CORE
イノベーションの種を創出します:教育を受け訓練された人材、研究における発見、および研究への公的資金を提供します。

INNOVATION INITIATIVES
研究における発見と革新的な技術やサービスの間のギャップを埋めるための設備とプログラムを提供します。

STARTUP ECOSYSTEM
起業家精神をサポートし、新しい事業を成長させるために、ビジネスの専門知識、市場ニーズ、リスクファイナンスを結び付けます。

CUSTOMERS
産業は新しいテクノロジーで市場拡大していきます。社会の繁栄は、新しいテクノロジー、雇用の増加、そして賃金の上昇を通じ実現されます。

THE COREにはOIST、沖縄県、沖縄高専、広試、研究機関、琉球大学が含まれます。INNOVATION INITIATIVESにはアクセラレータープログラム、起業家教育プログラム、POCプログラム、インキュベーターが含まれます。STARTUP ECOSYSTEMには銀行、支援機関、協力企業、ベンチャーキャピタル、法律事務所、メンター、スタートアップ、発明者が含まれます。CUSTOMERSには企業、社会が含まれます。

経済エコシステム

沖縄における研究開発(R&D)クラスター
OISTは沖縄県全体の研究開発(R&D)を促進し、アジア太平洋地域のイノベーションハブの中心になることを目指しています。

概念実証(Proof-of-Concept)
概念実証プログラムは、OISTの研究者にとって、競争力のある、ユニークで世界をリードする支援の枠組みです。その目的は、研究室での発見と社会的インパクトとの間の技術的および資金的ギャップを埋めるために必要な資金、グローバルな専門知識ネットワーク、専門能力開発を提供することです。

イノベーション・ネットワーク@OIST(INO)
イノベーション・ネットワーク@OIST(INO)は産業界の皆様に積極的にOISTの研究成果、教育、イノベーション関連の情報発信を行い、また会員の皆様のニーズをマッチングさせて、新たな協業事業分野を創ることを目的とした会員制プログラムです。企業、起業家、投資家、また個人も会員の申し込みが可能です。

我々が提供するもの、Proof-of-Concept Programには才能、データ、設備、専門家、つながり、トレーニング、支援が含まれます。

OIST Innovation インキュベーターを建設

イノベーションエコシステムの形成を実現するために、OIST Innovation インキュベーターを設置しました。ここでは、OIST学内や世界中からの起業家が、包括的な支援を受けながら、研究開発の促進、メンターや専門家を含むイノベーターのコミュニティー形成を行っています。

イノベーションスクエアインキュベーターの外観

目的

  1. ①国内および海外のスタートアップや企業に、OISTと連携する機会を提供することにより、科学技術の進歩を加速します。
  2. ②OIST周辺に世界的課題の解決策を創造する情熱的な起業家や企業で構成される、イノベーターのコミュニティーを形成します。
  3. ③新しい企業、産業、研究開発などの雇用創出を行うことによって、沖縄経済に好影響を与えます。

OIST Innovation インキュベーターでの活動は、技術開発イノベーショセンターによって管理運営され、OISTの核となる取り組みのひとつです。沖縄でスタートアップに関する活動を活発化させることにより、OISTは大学周辺のイノベーションエコシステムを強化し、地域の持続的な経済発展に貢献することを目指しています。

アクセラレータープログラムに採択されたチームは、OIST Innovationおよび世界中のメンターネットワークと協力し、沖縄県の支援のもと製品を市場に投入し、地域の持続的な経済発展に貢献することを目指しています。イノベーションスクエアインキュベーターおよび、アクセラレータープログラムの詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。

・OIST Innovationインキュベーター
https://groups.oist.jp/ja/innovation

・アクセラレータープログラム
https://groups.oist.jp/ja/innovation/oist-innovation-accelerator

イノベーションスクエアインキュベーターの位置、航空写真

OIST-Lifetime Ventures Fund

OIST-Lifetime Ventures Fund は、2022年5月、OISTとライフタイムベンチャーズが連携して設立したファンドです。Health & AgeTech(ヘルスケア・医療・介護・高齢化とテクノロジーの融合)、Future of Work(テクノロジーを活用した働き方の変革)、Sustainable Living(地球環境と調和の取れた生活を実現するテクノロジー)、Blue Economy(海の健康を守りながら発展する新しい海洋産業)などの分野で、社会に大きなインパクトを与えるディープテック・ソリューションの創出を目指しています。インキュベイトファンド株式会社からの支援のもと、OISTはライフタイムベンチャーズと連携し、OISTおよび国内外のアーリーステージのスタートアップを主な投資対象に、総額50億円(約4,000万米ドル)規模のファンドを組成しました。

グローバル・バイオコンバージェンス イノベーション拠点

2022年11月、科学技術振興機構(JST)の「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」に採択され、OISTに「グローバル・バイオコンバージェンスイノベーション拠点」を設立することになりました。

バイオコンバージェンスとは、生命・生物医学、海洋科学、工学、AI、複雑系などの学術分野間に生まれる相乗効果と、産学官の間に生まれる相乗効果をつなぎ、実用的なソリューションの開発を加速化する新しい戦略です。このバイオコンバージェンスを推進するプラットフォームとして、人類と自然界は密接につながっており、そのことによって利益がもたらされるという「ワンワールド・ワンヘルス(One World-One Health)」の概念を実現することをビジョンに掲げています。

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