沖縄懇話会30周年記念誌
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平成1312月18日(火)76本会でも独自の体制を組み、落ち込む沖縄観光を支援しようという緊急アピールが定時総会で採択された。(内容については139ページ参照)沖縄県への入域観光客数は2002(平成14)年度には2000(平成12)年度を上回る数へと回復。観光収入が2000(平成12)年度を上回るまでに回復したのは、2005(平成17)年度のことだった。ラウンドテーブルでも、アメリカ同時多発テロ以降の沖縄観光の被害について意見が述べられた。大橋洋治氏(全日空社長)は「年度内には回復する見通し」とコメント。羽根田勝夫氏(日本航空専務)は「地道に需要を戻す動きをしたい」とし、航空会社両社からピンチの今こそ沖縄観光の長期展望を描くべきと意見が出された。観光の視点から、長岡彰夫氏(オリエンタルランド常務取締役)は、自社が運営する東京ディズニーランドの成功要因として「リピーター獲得の秘訣」を紹介。これに対し沖縄側の東良和氏(沖縄県旅行業協同組合理事長)は「現状はリピーターの管理が出来ていない」としつつ、リピーターを対象に観光情報を提供するコールセンターの設置など、観光とITを融合した提言を行った。同じく沖縄側の稲垣純一氏(KBC学園長)は、沖縄の台風をテーマにした屋内娯楽施設や科学博物館を作り、修学旅行の誘致に活用する案を出した。さまざまな意見が出るなか、井上礼之氏(ダイキン工業社長)、宮内義彦氏(オリックス会長)は、「沖縄独自の観光のグランドデザインが必要である」と指摘した。沖縄県立博物館は那覇市首里大中町の中城御殿跡地にあったが、資料が年々増加し、収蔵庫は飽和状態に。1980年代中盤から新館の設立が叫ばれてきた。1990年代に入り、博物館関係者や県による「沖縄県立博物館新館建設基本計画」が動き出したものの、財政難により事業が一時凍結していた。2002(平成14)年度に沖縄県の「本土復帰30周年」が控えており、沖縄懇話会としてもこの事態を打開するために2001(平成13)年度、2002(平成14)年度の2年間をかけて調査研究事業を実施。幹事会にて調査経過報告や検討を重ね、国・県への提言や支援活動を推進した。その後、復帰30周年記念事業として博物館新館建設事業が再スタート。美術館を併設した「沖縄県立博物館・美術館」が2007(平成19)年11月に那覇市おもろまちに開館した。 〜そのパワーは観光とIT〜」株式会社オリエンタルランド 常務取締役長岡彰夫氏。2001.9.1〜2002.8.31ラウンドテーブル「目指せ、元気経済沖縄〜そのパワーは観光とIT〜」■同時多発テロ後、緊急アピールを採択2001(平成13)年9月11日、アメリカで同時多発テロが起こった。米軍基地のある沖縄への観光が忌避されるようになり、特に修学旅行の数は激減。沖縄県や経済界では「だいじょうぶさぁ〜沖縄」キャンペーンで観光客の呼び戻しを図るなど対応に追われた。日本トランスオーシャン航空(JTA)は機体に大きく「いこうよ!おいでよ!沖縄」と書き、「だいじょうぶさぁ〜沖縄」キャンペーンのロゴを大きく表示したジェットを飛ばし、県内外で沖縄観光を呼びかけた。また、県としても全国各地で沖縄観光をPRするイベントを開催するなど、この事態に対応した。■県立博物館移転に向けて本年度の新事業として「沖縄に求められる新しい博物館のあり方と支援方策について」をテーマに、専門機関に調査を委託した。第12回定時総会場所:沖縄ハーバービューホテル14:00〜14:30 定時総会14:40〜16:40 ラウンドテーブル(会員懇談会)          「 目指せ、元気経済沖縄           懇親パーティー年度2001

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