沖縄懇話会30周年記念誌
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34絵を描くことです。沖縄にはグランドデザインがないと思います。国からお金を出させることよりも、自分たちで人が来てくれるグランドデザインを考えることです。代表的な街である那覇の都市計画もそうですが、沖縄諸島全体のグランドデザインを作って、ゾーニングすることが必要です。地域の特徴に合わせて、例えば石垣島は富裕層向けのリゾート、宮古島は若者向けみたいな特色を打ち出す。オリックスはプロ野球の春季キャンプで宮古島には長いことお世話になりました。個人の感覚としてですが、宮古島は若者向け、スポーツ向けの島として素晴らしいなと思っています。まあ、沖縄にグランドデザインがないというより、日本人全体が不得手な分野ですね。直近のラウンドテーブルでも申し上げたように、沖縄は県民所得が全国最下位ですが、私はベスト10に入れる可能性は十分あると思っています。沖縄の方々が、日本一の観光立県を作ってやろうと、そのためにはどうしたらいいかという知恵を、焦点を合わせて出していくことが必要です。ラスベガスの郊外に、レイクラスベガスという有名なリゾートがありますが、元は何もない砂漠でした。一不動産会社が人工の湖とゴルフ場を作るというグランドデザインを描いて、数十年かけてやり切りました。ハワイもそうですが、観光地はそういう夢物語から始まるんですよね。ましてや沖縄県庁がグランドデザインを作って、本気で行動すれば、やり切れるはずです。そしたら、今後の100年は悠々と生活していけるはずです。まあ、県民所得なんてある意味いい加減な数字だと思っています。金額だけで単純に表せないものはいっぱいありますから。北海道では県民所得の多くを暖房のために使いますが、沖縄では暖房と雪下ろしは必要ないでしょう。暖かいというのは、観光だけでなく住環境としても魅力があります。私は、沖縄はフロリダみたいになり得ると思っています。北米は冬になると、カナダなどの寒冷地発フロリダ行きというものすごい数のチャーター機が飛びます。金持ちのお年寄りが大移動して、冬の間はフロリダで暮らす。日本でも、年寄りはますます増えてきます。アジアの富裕層もいいですが、国内からもなるべくお金持ちに来てもらう。お金持ちをターゲットにした一級品の施設を何カ所か作ることですよ。年を取ると、暖かい所がいい。私自身も引退したら、冬は沖縄に住みたいと思っています。やっぱりハワイより沖縄ですよ(笑)。――観光のさらなる発展には何が必要でしょうか?――ゾーニングというのは、リゾート開発をするエリアと、自然をしっかり守るエリアというような設定が沖縄県全体に必要だということですか?――島や地域の特色を打ち出して差別化すれば、より付加価値の高い観光が実現できますね。――確かに、単純に数字だけでは比較できないですね。暖かい気候のメリットは数字に出にくい。「お金と人材が二大資源」カリスマ経済人の言葉には、沖縄経済発展のヒントがある「まず、本気で絵を描くこと。グランドデザインが必要です」沖縄諸島全体を見渡した

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